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全身疾患の手術などを受ける方の口腔内ケア

こんにちは、院長の塚原です。

朝晩の空気が冷たくなってきて、この時期らしい気候になってきました。

風邪をひかれている方も多く見られますので、体調管理に気をつけてください。

今回は周術期の口腔機能管理についてお話ししたいと思います。

ちょっと聞きなれない言葉だと思いますが、

手術など(化学療法や放射線治療なども)の術後に誤嚥性肺炎などの合併症を起こさないようにするために、医師と歯科医師が連携をとって術前から退院後まで患者さんの口腔機能のを行うことを言います。

対象になる患者さんは、

全身麻酔下でのがん、心臓血管外科手術、臓器移植、骨髄移植、人工股関節関節置換などの整形外科手術、脳卒中の患者さんです。

お口の中に は1gの歯垢の中に億という数の細菌がいます。
お口の中が清潔でないと全身麻酔の気管内チューブを入れる際にその細菌を気管や肺に押し込んでしまい、肺炎を起こすリスクがあります。

また、グラグラしている歯がある場合、術中や術後に抜けて飲み込んだり、気管に入ったりしてしまうなどの危険もあります。

さらに術後(化学療法、放射線療法も)の免疫力が下がっている時に炎症のある部位が悪化したりすると手術した疾患の治療にも影響がでます。
そのため、本来なら、治療をして残せる歯でも緊急な手術が迫っている場合、感染予防のため抜歯しなければならないこともあるのです。

術後においては、誤嚥性肺炎予防の口腔衛生はもちろんのこと、早期回復のための「食べる」を支援することが重要になります。
化学療法や放射線療法後の口内炎のケアや食べるための機能訓練も大切です。

残念ながら、緊急の手術などでは、十分な治療をする時間がないのが現状です。

人口は少なくなるものの、高齢化社会が進み、2人に1にはがんになり、脳卒中も増え、それにより要介護者数も増加すると言われています。

当院にも術後の患者さんや後遺症でうまく歯ブラシができない方もいらっしゃいます。

入院中だけでなく、退院後もケアや機能訓練を継続して行わなければ病気の再発にもつながってしまうため、ご本人やご家族で行えるようにすることが第一ですが、歯科での専門的なケアは欠かせません。

このことからも、何かあってからではなく、健康であっても日頃の口腔ケアと鼻呼吸、よく噛んでしっかり栄養を取り、お口の周りの筋肉をよく使って機能を維持していくことがとても大切です。

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