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歯科用金属とお口・全身について

こんにちは、歯科医師の松井です!

今回は『歯科用金属とお口・全身について』がテーマです。

歯科では、昔から現在に至るまで様々な金属や合金が使用されています。

一番身近なものだと保険用の金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯)かと思います。

(製品によって異なりますが、組成はおおよそ金:12%、パラジウム:20%、銀:約50%、銅:約10%、その他亜鉛・インジウム・すず)

最近では、お口の中の歯科用金属がアレルギーを引き起こすことがあることは患者さんにも広く知られています。

その発症機序については未だ正確には解明されておらず、研究が進められているところです。

では実際、どのような症状が起こりうるのでしょうか??

 

 

 

◉口腔扁平苔癬(へんぺいたいせん)

 

 

 

 

 

 

口腔粘膜の角化異常を伴う慢性炎症性病変。表面が白く見え、レース状(オーロラのような感じ)が多いです。

しばしば潰瘍等を伴い、食べ物が接触すると痛みがあったりしみたりすることがあります。まれに癌化することあり。

金属アレルギーとの関連が高いことはわかっています(特にアマルガム)が、その他詳しい原因は不明です。

 

◉掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)


 

 

 

 

 

手のひらや足の裏に感染によらない(無菌性の)嚢胞が繰り返しできる慢性炎症性の難治性皮膚疾患。

発症原因は明らかになっていませんが、かねてより金属アレルギーとの関連もあると言われています。

ただ、歯科用金属の除去のみにより寛解したのは数%という報告もあり、今後の研究が待たれるところです。

 

◉口腔粘膜炎

歯肉炎・口内炎・舌炎・インプラント周囲炎・口角炎など。

これらの炎症は金属アレルギー以外の原因で起こることがほとんどなので、まずは金属アレルギー以外を疑うのが定石です。

しかし、なかなか寛解しない場合は金属アレルギーの可能性を考慮する必要があるとされています。

 

その他、体の湿疹や水泡、かゆみ、紅斑も歯科金属アレルギーと関連性がある可能性があると言われています。

 


 

どんな金属によるアレルギーが多いの?

パッチテスト(アレルギー検査)陽性金属では、水銀・ニッケル・コバルト・クロム・パラジウムは多くの調査で陽性率が高いと報告されています。

これらはいずれも口腔内で使用することがある金属です。

水銀・ニッケルは現在ではほとんど使われませんが以前は銀歯に使用することがありました。

コバルト・クロムは義歯によく使用され、パラジウムは前述した通り現在主流の合金に含まれています。

また銀や銅など他の金属もアレルギーを起こすことはあります。

 

ただ、口腔内に現れる種々の症状は発症率を考慮すると金属アレルギー以外の疾患である可能性の方が高く、まずは患者さんのお口の中をよく観察したうえで治療歴・病歴・全身的なバックグラウンドを加味して鑑別診断を行っていく必要があります。

 


 

いかがでしたでしょうか?

歯科金属アレルギーがもし原因であれば、金属を除去することが治療の一環になります。

もし銀歯やアレルギーが気になっている方がいらっしゃれば、ご相談ください!

皮膚科とも連携を取って診断を行っていきます。

当院では金属を使わないメタルフリー治療』も行っていますので、丁寧に対応させていただきます。