ブログ
教えて!!ドクターQ&A【Vol.28】

Q. 歯周病と糖尿病はとても深い関係にあると聞きました。詳しく教えてください。
A. お口の中の細菌が歯周病や虫歯だけでなく、全身の病気と深くかかわっていることが知られるようになりました。糖尿病と歯周病は慢性的なわずかな炎症を介して相互に影響を与えています。
歯周病は肺炎など高熱を出すような炎症ではありませんが、治療をしなければ5年・10年と長期に渡り、炎症が継続していきます。歯周病の慢性炎症によって分泌される物質(炎症性サイトカイン)がインスリン抵抗性をもたらし、血糖値を上昇させます。糖尿病は神経障害、網膜症、腎症の3大合併症の他にも壊疽、脳血管障害、心血管障害を起こし、命に関わります。
また、糖尿病になると唾液が少なくなり、細菌が繁殖しやすい環境になりますが、その細菌を取り込み消化分解する好中球の働きが低下することもわかっており、感染防御機能が十分に働かなくなります。さらに糖尿病はタンパク代謝にも影響を与え、組織を修復する働きも低下して歯周組織(主にコラーゲンというタンパク質でできている)を弱体化してしまいます。このように歯周病と糖尿病は深い関係があり、歯周病の炎症を抑えることによって糖尿病を改善させ、糖尿病をコントロールすることによって歯周病も改善していきます。
糖尿病の患者さん、さらに予備軍といわれている方は、歯科医院で歯周病の検査、治療をすることを強くお勧めいたします。